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水産業でも進むDX!スマート水産業(漁業)の事例や求められるエンジニア職種

ITビジネスだけでなく、ありとあらゆる業界でIT技術を活用した業務改革、DXが進められている現代。

産業分野でも例外ではなく、水産業・漁業分野においてもIT技術を活用するスマート水産業(漁業)に注目が集まっています。

そこで今回は、スマート水産業として水産業界でも進むDXについて、その具体的な事例とともに解説していきます。

スマート水産業で活躍できるエンジニアについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

水産業とは?

水産業とは、魚介類や海藻などの水産物の捕獲・養殖から加工・流通販売といった、水産物に関する産業の総称です。

第一次産業であり漁獲・養殖などを行う漁業を中心として、第二次産業である水産加工業、第三次産業である流通販売を担う水産流通業といったいくつかの産業で構成される、経済活動を指しています。

スマート水産業(漁業)とは?

水産業・漁業では、人手不足や担う人材の高齢化、気候変動・資源減少による生産性の現象、技術の属人化など、様々な課題があります。

これらの課題の解決を主な目的として進められるのが、IT技術を活用することによる生産活動の省力化・効率化などの実現を目指した、スマート水産業(漁業)です。

漁業を管轄している水産庁によっても推進されているスマート水産業では、以下の3つが目的として掲げられています。

  • 適切な資源評価・管理の促進
  • 生産性向上
  • 担い手となる若者の確保

スマート水産業のメリットと課題

スマート水産業を導入することには、様々なメリットがあります。

しかし、導入を進めていくためには、改善していかなければならない課題も多くあるでしょう。

本章では、そんなスマート水産業のメリットと課題について、それぞれ詳しくご紹介します。

スマート水産業のメリット

スマート水産業のメリットとして挙げられるのが、次のような点です。

  • データ化による属人化解消・負担軽減
  • 人手不足解消
  • 若手人材獲得・育成
  • 所得向上

それぞれ詳しく見ていきましょう。

◯データ化による属人化解消・生産性向上

これまで漁業では、漁業者の経験や勘に基づいて、良好な漁場の発見、養殖などが行われてきました。

判断が属人化してしまった中で、経験や勘をしっかりとデータ化し、分析することで、多くの魚が取れる漁場の予測や養殖環境の最適化などを行うことができ、属人化を解消し、生産性をより高めることができるでしょう。

◯人手不足解消

技術活用により作業効率化が実現すれば、課題である人手不足の解消も叶うでしょう。

データにより効率的な作業が可能になるだけでなく、例えば自動釣り機や探索用ドローンなど、自動化に向けたロボット開発なども進められており、これらの普及が叶えばより人手不足の解消に役立つことが期待できます。

◯若手人材獲得・育成

人材不足とともに嘆かれている人材の高齢化にも、スマート水産業が貢献します。

これまでの水産業には体力面の不安や激務であるなどのイメージがありましたが、最新の技術により生産性が向上することで、こういったネガティブなイメージを払拭でき、若手人材の関心を高めることができるでしょう。

また、これまで難しかった経験や勘により培われた技術の継承も、データ化・マニュアル化が進むことで、短期間で効率的に高い精度での技術継承が可能になりますね。

◯所得向上

今後スマート水産業がより高いレベルで進んでいくことで、省力化・省人化を図ることができ、1人1人の賃金の向上にもつながるかもしれません

流通・物流の効率化も同時に図ることで、高品質の海産物を需要に応じて国内外へと配送することができるようになり、より利益面も期待できます。

所得という形で、水産業に関わる人たちに還元されやすくなるでしょう。

スマート水産業の課題

ご紹介したように様々なメリットがあるスマート水産業ですが、その導入には、まだまだ課題も存在します。

スマート水産業の課題として挙げられるのが、以下の3点です。

  • 導入コストが高い
  • ITリテラシーの高い人材が不足している
  • データが標準化されていない

こちらも、それぞれ詳しく解説していきます。

◯導入コストが高い

まず、導入コストの高さです。

スマート水産業に用いられるICT機器などはコストが高く、まだ手軽に導入することができません。

今後どの程度導入コストが抑えられるかが、スマート水産業普及の鍵となってくるでしょう。

◯ITリテラシーの高い人材が不足している

スマート水産業は機器やソフトウェアを活用して行われるため、その運用にはITリテラシーの高い人材が求められます。

これまではIT化が進んでいなかった分技術に触れている人材も少なく、ITリテラシーの高い人材が不足しているために導入が進まないというのも課題のひとつですね。

◯データが標準化されていない

スマート水産業では、様々な機器・ソフトウェアなどが活用されます。

しかし、水産業に用いられるデータ形式など、日本でも世界でもまだ標準化されていないため、その点もデータ活用時の負担となっているでしょう。

水産業で活躍できるエンジニア職種

エンジニアはスマート水産業分野へと従事することで、社会貢献性を感じられたり、様々な最新の技術に触れられたりと、やりがいの面でもスキルや収入の面でもメリットがあります。

それでは、どのようなエンジニア職種であれば、水産業でも活躍できるのでしょうか。

水産業で活躍できるエンジニア職種をご紹介します。

IoTエンジニア

まずは、IoTエンジニアです。

IoTエンジニアとは、Iot「モノのインターネット」を実現するための、様々な物に対するインターネット接続や制御などを行うシステムの開発・管理を行うエンジニアです。

スマート水産業では例えば会場に浮かぶブイをIoT化することにより海水温や塩分、潮流のデータをリアルタイムで取得・配信する技術など、IoT技術が多く活用されています。

AI・データエンジニア

AI・データエンジニアは、その名の通りAIを活用したシステムの開発やデータ分析分野を担うエンジニアです。

例えばマグロの養殖のため、影響を受けてしまう赤潮の被害を抑えることを目的に、ドローンによる観測・AIによるデータ分析を活用し、赤潮リスクの予測を行うシステムが開発されたなど、生産性の向上にAIは役立てられています。

AI分野・データ分野はスマート水産業はもちろん多くの業界で今後の需要増が期待できる先端分野であるため、スキルを身に着けておいて損はないでしょう。

AIエンジニアについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧下さい。

(内部リンク:https://www.engineer-route.com/column/10407/

まとめ

今回の記事では、IT化が進む水産業において、スマート水産業のメリットや課題から、スマート水産業において活躍できるエンジニア職種まで詳しくご紹介しました。

まだまだ課題はありますが、スマート水産業には多くのメリットがあり、水産業の発展のためにも今後さらに導入されていくことが考えられます。

水産業界に興味があるというエンジニアの方は、ぜひ参入を考えてみてはいかがでしょうか。