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「.NET」まとめ 特徴は?これから先は?

Windows系のシステム開発で用いられる「.NET」について、名前は知っていても詳しいことはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は「.NET」それ自体と、名前を見ることも多い「ASP.NET」「C#.NET」「VB.NET」の3つについてご紹介します。

.NETの概要

そもそも「.NET」というのは、「.NET Framework」の略称です。
さらに「.NET Framework」とは、Microsoft社が2000年6月にリリースしたアプリケーション開発と実行のプラットフォームのことです。
「.NET」はWindowsアプリケーション以外にも、XML WebサービスといったWebベースのアプリケーションも包括しています。

「.NET」最大の特徴として、複数の言語で開発ができることが挙げられます(あくまでもMicrosoft社が推し進める言語だけで、JavaやPHPでは開発できません)。
開発で用いられた異なる言語は、共通中間言語(CIL)と呼ばれる共通語に一度コンパイルされます。
また、Microsoft社が実装したCILの国際標準仕様を共通言語ランタイム(CLR)と呼びます。
CLRも「.NET」の特徴の一つです。

ASP.NET、C#.NET、VB.NETの概要。全部に「.NET」がつくけど何が違うの?

次に、「ASP.NET」「C#.NET」「VB.NET」について紹介します。
これらはすべて語尾に「.NET」が付き、いずれも「.NET」の環境下で動くものです。
ですが、この3つでは「ASP.NET」だけがまったくの別物になります。

ASP.NET

「ASP.NET」は、Webアプリケーションを開発するしくみを提供するフレームワークのことです。
通常、webページを作るにはHTMLのコードを書く必要がありますが、「ASP.NET」ではより直感的に画面を作成することができます。

例えば、クリックすると「Hello!」と表示されるボタンをWeb上に作るとします。
通常なら「ボタンの大きさを書いて、『もしクリックされたら「Hello!」と表示する』という指示のコードを書く」という作業が必要です。
ですが、「ASP.NET」なら既存のツールボックスからボタンをドラッグ&ドロップし、ボタンをダブルクリックして『もしクリックされたら「Hello!」と表示する』と書くだけです。

C#.NET

「C#.NET」は、プログラミング言語の「C#」を用いたコンパイラのことです。
また「C#」とは、Microsoft社によって開発された「.NET」環境で動くオブジェクト指向の言語です。
とはいえ、2017年9月時点ではMicrosoft社しか「C#」のコンパイラをリリースしていないため、実質「C#」と「C#.NET」は同義であると言えます。
3Dや2Dのゲーム開発に定評がある言語です。

VB.NET

「VB.NET」は「Visual Basic(以下VB)」というプログラミング言語のことで、バージョン6.0より後にリリースされたものを指します。
VBバージョン6.0までは「.NET」に対応しておらず、バージョンアップで大幅に仕様が変更されました。
そこで、従来のVBと区別するために「.NET」が名前の最後につくようになります。

しかし、「.NET」が名前についているのは、「VB.NET」「VB.NET 2003」のみで、2005年版からは「VB 2005」に戻ってしまいます。
ですが、中身は「VB 2005」以降も「VB.NET」と同じです。
この記事では、区別するためにも「.NET」対応版は「VB.NET」という呼び方で統一します。
この名前の変化を何かに例えるなら、歌舞伎役者の世襲と襲名でしょう。

あるところに歌舞伎役者「VB」がいたとします。
VBには息子がいて、幼少期から「VB.NET」として歌舞伎に出演させています。
あるとき、父の「VB」が引退するので、息子「VB.NET」が父の名前を「VB」を襲名し、以後「VB」と名乗るようになります。
新しく「VB」と名乗るのは息子なので、父とは名前こそ同じでも、中身は「VB.NET」のまま変わりません。

.NET(ASP.NET、C#.NET、VB.NET)を習得するメリット

これで「.NET」「ASP.NET」「C#.NET」「VB.NET」の大まかな特徴は捉えられたと思います。では、これらを習得することで、我々エンジニアにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

学びやすさ

「VB.NET」と「C#.NET」はともにその学びやすさに定評があります。
「VB.NET」はVB、「C#(.NET)」はC言語やC++の改良版として開発された言語です。
そのため、改良前に比べて難易度が低く、初心者でも学びやすい言語といえます。
特に「VB.NET」を授業で扱う高校もあり、10代の学生でも理解しやすいようにやさしい言葉で書かれた教本が多いのも特徴です。

また、C#は文法やソースコードの構文がJavaに似ているため、Javaを先に習得した人にとっては敷居が低い言語です。「ASP.NET」についても、そもそもエンジニアが書くソースコードを極力減らせるように開発されたフレームワークであること、直感的な開発が可能であることからも、習得がしやすいと言えます。

Windows系の開発で大活躍!転職にも使える!?

業務系アプリケーションではWindowsもよく使われているため、Windows向けのフレームワークである「.NET」および周辺言語は需要がかなりあります。
結局CILにコンパイルされるため、「C#.NET」「VB.NET」どちらでも開発ができるという点も、取得するうえで大きなメリットになります。

また、これらの開発には「Visual Studio」という、Microsoft社の統合開発環境が用いられることが多いですが、「Visual Studio」に比べても高性能で効率的に開発ができることも「.NET」環境で開発する強みであると言えます。

また、「業務系」と一口で言っても様々な業界で需要がある半面、「.NET」を扱えるエンジニアは決して多いとは言えません。
そのため、「.NET」の周辺言語を仕事で使えるスキルがあれば、転職市場で重宝される可能性はあります。

.NET(ASP.NET、C#.NET、VB.NET)のこれから

では、これから先、「.NET」「ASP.NET」「C#.NET」「VB.NET」を取り巻く環境はどうなるでしょうか?

需要がなくなることはない

まず、「.NET」環境は需要が全くなくなるということは考えにくいでしょう。
というのも、業務系のアプリケーションでは最初の開発で用いた言語を刷新するということはごく稀だからです。
つまり、現在「.NET」環境で開発されているアプリケーションはこのまま「.NET」環境でアップデートされ続ける可能性が高いです。

また、その一方で言語習得者数・人気度ともにナンバーワンのJavaとは得意な領域が異なり、正面から両者がバッティングすることも考えにくいでしょう。
特に社内システムなどや保守管理系のシステム開発においてはJavaより「.NET」の方が良いということも少なくありません。

良くも悪くも「.NET」がWindowsに依存していることも事実

「.NET」がWindowsに依存しているというのは、長所でも短所でもあります。
また、Google社やApple社のここ十数年での著しい成長からも見てわかる通り、初代「.NET」がリリースされた頃と勢力図は大きく変わりました。
そのため、Windowsに依存していることが必ずしも優位であるとは言えなくなったのです。

そのため、Microsoft社も2014年11月には、ついにLinuxやmacOSといった、Windows以外もサポート対象とした「.NET Core 1.0」のリリースを発表しました。
また、「.NET Core 1.0」は最初からGitHubでオープンソース化して公開されたことも、全世界的に大きな話題になりました。
実は「ASP.NET」と「C#.NET」はすでにオープンソースに対応しています。
また、「Mono for Xamarin」というランタイムによって、「.NET」がandroidやiOSで使えるようになっています。
そのため、今後「VB.NET」もオープンソース化すれば、Windowsに依存しない開発環境として現在の弱みを解決することができるでしょう。

さらに、先にも説明しましたが、「.NET」が使えるエンジニアは「.NET」の需要に対してそれほど多くありません。
そのため、『「VB.NET」や「C#.NET」が使えるエンジニア』というだけで需要が発生することも考えられます。
ただ、Windowsのみで使える言語しか扱えないということは、プロジェクトが変わった時の不安材料にもなります。
そのため、特に転職を希望される場合は、「.NET」環境以外の言語も習得しておくべきでしょう。

最後に

「脱・Windows依存」と掲げましたが、いくらオープンソース化しても、Microsoft社が開発する環境なので、やはり「.NET」はWindowsにおいては大きな強みを持ち続けるでしょう。
また、「.NET」は学校での教育に用いられていることもあり、需要はエンジニア以外の方面で高まる可能性もあります。
今の学生世代が社会人になったら今よりも習得者の割合が増え、メジャーになるかもしれません。
それに、学生に教える先生の間で需要が高まり、開発をしなくても「.NET」なら知ってるという人が多くなる可能性はあります。

これからプログラミング学ぶ人も、開発経験がある人も、自分の将来や新しい仕事に向けて、ぜひ参考にしてみてください。