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フリーエンジニアのためのプロジェクトマネジメント教室 〜【第3回】プロジェクト計画・要求定義・要件定義〜

プロジェクト計画の重要性とITプロジェクトの限界

孫氏の兵法には「勝算のない戦いはしてはいけない」と、また日本の諺でも「段取り八分」という言葉がありますが、プロジェクトにおいても、成功のためには勝算のあるプロジェクト計画を立てられるかどうかが重要なファクターになります。

勝算のある計画というのは、次回以降具体的な説明をしますが、スケジュール、コスト、品質、スコープ、リソースといった要素が実現可能かつ効率的な計画になっていることを意味します。
しかしながら、ITプロジェクトにおいては、なかなか「勝算のある」プロジェクト計画をプロジェクトの初期の段階で組み立てるのは至難の業です。

それは前述したようにITプロジェクトの場合、技術進歩が激しく、参考にできる類似のプロジェクトが少ないことが要因となり、計画時に不確実な要素が多すぎることが主な要因だと思います。
そのような状況で計画を立てたとしても「机上の空論」「絵に描いた餅」になってしまい、結果的に「計画をしない」のと同じ状況になってしまうことが多いのです。

そこで本章では、このような状況を踏まえた、ITプロジェクトにおけるプロジェクト計画の一例を以下にご紹介します。

【考え方1】プロジェクト計画は常に適切に更新・承認されるべきもの

プロジェクト計画というのは、「初期の段階に作成し、その後は計画をほとんど変更することなく実行されるもの」ではなく、「不確実な要素が徐々に確実性をもってくる過程のなかで、プロジェクト計画は都度更新され、都度承認されるもの」です。

具体的には、スコープ記述書、WBS、ガントチャート、課題管理表、リスク登録簿といった、様々なドキュメントが更新、承認の対象になります。

【考え方2】計画に空気遠近法を使う

遠近法というのは絵画の表現方法で、線遠近法と空気遠近法があります。

線遠近法というのは空間の1点に向かって収束するように描くと2次元空間に奥行きを表すことができる方法です。
そして空気遠近法は「手前のものは明確に、遠くのものは淡くぼやーっと描くことで奥行きを表す方法です。
プロジェクト計画も空気遠近法の考え方で、「直近の計画は綿密に」「かなり先の計画はおおまかに」描くことを心がけましょう。

ITプロジェクトでは、かなり先の計画というのは不確実な要素だらけなのでそこにあえて力を注ぐ必要はないものの、不確実だからといって全く描かないのではなくある程度のレベルまでを描く、というのが私の考えです。

【考え方3】要件定義がポイント

不確実性が多いITプロジェクトとはいえ、要件定義が終わると開発の内容が明確になりので、リソース(人員)が明確になってきます。
するとコストもスケジュールも明確になってきますね。

先に「空気遠近法」を使うという表現をしましたが、要件定義が終わった段階からは、かなり詳細な計画を立てることも可能になるので積極的に詳細化を進めていきましょう。

要求定義と要件定義

先ほど「要件定義」という言葉を使いましたが、「要件定義」という言葉や「要求定義」という言葉をきちんと理解していない方が結構多いことに驚かされます。
「要求定義」とはプロジェクトの目的をより具体的にブレイクダウンして、何を実現したいのかを定義したものになります。
これに対し「要件定義」は、要求を実現するための具体的な手段を定義する作業です。

わかりやすいように例示をすると「スーパーのレジで商品の価格をいちいち入力しないようにしたい」という要求に対して、「あらかじめ商品マスタにバーコードの情報と価格を登録しておいて、バーコードリーダーで商品をかざすと自動的に価格が計算されるようにしよう」というのが要件となります。

少し言い方を変えると、「スーパーのレジで商品の価格をいちいち手入力すると入力ミスもあるし、時間もかかるのでなんとか改善したい」という課題(Issue)に対して、「では商品のバーコードを読み込んで自動で価格が計算される仕組みはどうでしょうか?」という解決方法(Solution)を提示するのが要求定義と要件定義の関係といえます。

まとめると、要求定義はプロジェクトの目的を踏襲しながら、現状の課題を整理し、今回のプロジェクトではどうしたいのかを明確にすることです。
ですので、これは主にユーザ側、発注側の企業が主体となって定義をしていく必要があります。
要件定義は要求に対して具体的な解決策を見出す作業であり、それは抽象的なものではなく、かなり具体的で実現可能な方法を定義していく必要があります。

一般的にはITプロジェクトを受注する企業が主体となって発注側の企業と一緒になって進めていくものになります。

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