【第3回】構築ポイント(3) 各地域の環境に合わせる〜現役エンジニアが解説するグローバルサイト制作教室〜

中国本土に対する対応

中国本土のネットワークはご存知とは思いますが、グレイトファイアウォール(GFW)の中にあります。
つまり中国本土から見た海外のサイトは、GFWの外にあることになります。

政治的であったり、アダルトでない限り、中国からのGFWの外のサイトを閲覧することは可能ですが 何点か注意が必要です。

速度

GFWから外のサイトにアクセスした場合速度はかなり遅くなっているようです。
中国本土を主要マーケットにする場合はページのサイズに注意が必要です。

SNS

インスタやTwitterはアクセス制限されています。
自社のサイトとこれらのSNSを連動させたい場合は注意してください。

YOU TUBE

YOU TUBEも同様です。
製品説明の動画をYOU TUBEでアップしている場合も注意が必要です。

中国本土で代替のサイト

これらSNSやYOU TUBEについては、中国本土で代替のサイトがあります。

中国を主要なマーケットに考えている場合は中国本土からのアクセスのケース、あるいは、中国語(簡体語)のサイトの場合は代替のサイトに切り替えるといった措置が必要かもしれません。

なお、GoogleについてもGFWからではアクセス制限がかかっています。
これは検索サービスとしてのGoogleだけでなく、たとえばGoogle Docsを使ってファイルを表示する場合やGoogle翻訳などを利用する場合はご注意ください。

日付表記について

我々は日本に住み、日本語を使うのであまり意識しないことですが「言語」という概念と「国・地域」という概念は違います。

例えば日本では、「2019年7月1日」や「2019/7/1」という表記ですが、
英語表記の場合、アメリカ式だと以下のように最初に月がきます。

・7/1/2019
・July 1st,2019

でもイギリス式だと最初は日になります。

・1/7/2019
・1st July 2019

アメリカ式の「7/1/2019」とイギリス式の「1/7/2019」非常にややこしいですよね?

この日付表示についてその言語とユーザの住んでいる地域によって年月日の順序を組み替えるのはシステム的は結構大変なことです。

ですので私が担当したプロジェクトでは、日付表示についてはサイトの言語が何語であってもアメリカ式の「July 1st,2019」を少し省略して「Jul.1,2019」にしています。

また「7/1/2019」の形式だと、7月1日を1月7日と勘違いする場合があるので、この方法は採用していません。

時刻表記について

時刻についての表記も同じ英語圏であってもバラバラです。

ですが少なくとも英語圏では24時間表記はしませんので、22時は 10:00 p.m.になります。

ちなみにドイツやフランスは24時間表記です。

時間帯

このサイト表記している時間は、どこの時間帯を基準にしているのでしょうか?
日本時間の場合はJSTと書きます。

これはJapan Standard Time の略ですが、海外の人はJSTがどこの時間帯なのか知っているとは限りません。

ですので日本時間の22:00の場合は、10:00pm(UTC+9)と表示するようにしています。
ちなみにUTCとは協定世界時を表します。

まとめると日付、時刻についてはサイトの言語が何語であっても、2019年7月1日 22:00 の場合はJul.1,2019,10:00pm(UTC+9)こんな感じで表記しています。

ただしこれが絶対というわけでなく、上記のように様々な考慮をしながら表記を工夫してくださいということです。

また、最近はクラウドの普及により海外のサーバでサイトを運用することがあります。
この場合サーバーのシステム時刻が日本時間ではありません、現地のサーバの時刻もしくはUTCの場合が多いと思います。
その際は日本時間でサイトを表記したいということであれば、サーバの設定が必要ですのでご注意ください。

サーバメンテナンスについて

サイトがリリースした後は運用業務が始まります。
プログラム改修やDBのカラム追加等、様々な対応が出てくると思います。

サーバやDBの再起動が必要なケースの場合、一時的にサイトをメンテナンスモードを表示してサーバのケアをしている必要が出てきます。

しかしグローバルサイトは24時間動いています。
どこでメンテナンスを実施するのが適切なのでしょうか?

BtoBサイトの場合は平日にサイトアクセスが多く、週末は少ない傾向にあります。

ですので日本が平日朝を迎える前で、アメリカのカリフォルニアやハワイが週末になっている日本時間の日曜日の夜などがメンテナンスとしては適切な時間帯といえます。

またBtoCの場合だと週末や夜間にアクセスが多いケースがあります。

その場合は平日のメンテナンスになりますが、時間帯については例えばアメリカが重要であればアメリカからのアクセスが活発な時間帯を避け、代わりにアジアからのアクセスは犠牲にするといった考え方もあります。

大規模なサイトの場合は

この章の最初に触れたGFWや最後に触れたサーバメンテナンスは、サーバを1か所に置くことを前提として書きましたが、規模の大きなサイトであれば世界中の各拠点にサーバを設置して同期を取りながら運用していくことも可能です。

その場合は中国向けはGFW内にサーバを設置したり、世界各地にサーバがある場合は順次サーバを再起動するといったことが可能です。

最後に

このコラムの最初にグローバルサイトについて定義をしました。
改めて述べると、「海外展開を行っている企業が、各地域の環境に柔軟に適応しているサイト」と私自身は定義をしています。

構築の際には、これまで申し上げてきたシステム的な考慮はもちろんですが、その企業の海外戦略の理解や各地の販売体制の現状と将来像など様々な点を整理する必要があります。

それによって例えば
・製品DBはどのように管理したほうがいいのか?
・製品の発送体制はどうすべきか?
・問い合わせの体制は?
・販売後のアフターケアは?
等々全く異なってきます。

その点を肝に銘じてグローバルサイト構築というビッグプロジェクトに臨んでください。

  • この記事を書いた人
この記事を書いた人

高崎敦史 氏

年齢:50代 エンジニア歴:21年
大学卒業後、外資系銀行・コンサルティング会社・ネット企業での勤務を経て、2006年からフリーランスのエンジニアとして始動。
09年にPMP取得した後はプロジェクト・マネジメントの専門家という立場で、多くのIT系プロジェクトを成功に導いている。

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